おとなの社会見学:ミツカン本社「博物館 酢の里」訪問
2009年3月6日、愛知県半田市にある株式会社ミツカン本社にて、「おとなの社会見学」が開催されました。30名の参加者が集まり、「博物館 酢の里」を訪れて酢と食文化の歴史を学び、企業のマーケティング戦略について理解を深めました。
講演と見学内容
1. 「酢とすしの科学」
元ミツカンの研究員である藤森正宏氏が、酢と寿司の深い関係について講演しました。
粕酢の誕生と寿司の歴史: 江戸時代、造り酒屋だったミツカンの初代が酒粕から「粕酢」を開発。これが江戸で流行した「早ずし」に用いられ、大好評を博したという歴史が紹介されました。
食文化と嗜好性の違い: 参加者は、関東と関西の寿司の嗜好性の違いや、アメリカで「うま味」が好まれないため、寿司がサラダのようなあっさりとした味付けで人気があるといった、地域や文化による食の好みの違いについて学びました。企業が食文化の嗜好性を定期的に調査し、製品開発や販売戦略に活かしているという話は、参加者にとって非常に興味深い内容でした。
2. 「おむすび山 赤飯風味・山菜風味の開発」
ミツカンでマーケティングを担当する大石竜氏が、人気商品「おむすび山」の新商品開発について解説しました。
開発背景: 不景気による弁当需要の増加や、手軽に手作りしたいという消費者のニーズ、安全志向の高まりといった社会背景が、新商品の開発に繋がったことが説明されました。
マーケティング戦略: 新商品が野菜由来の色素を使用して開発された経緯や、企業が消費者の動向をどのように分析し、製品に反映させているかという食品マーケティング戦略の話は、特に家政学専攻の学生から大きな関心を集め、企業への就職意欲を高めるきっかけとなりました。
まとめ
参加者は、今回の社会見学を通じて、日本の食文化を支える企業の歴史や、消費者のニーズに応えるための緻密なマーケティング戦略について学びました。酢やふりかけといった身近な食品が、どのように私たちの食卓に届いているのかを知る、貴重な体験となりました。